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公証事務

Q1. 定款とは何ですか。何故、公証人の認証が必要なのですか。

1 定款とは何か。

定款は、会社、公益法人、社団法人、財団法人、各種協同組合等の法人の目的、組織、活動に関する根本となる基本的な規則です。これを書面若しくは電磁的記録に記載又は記録したものをいうこともあります。

【定款の作成方法、契印、作成日時】

定款の作成方法は、通常次のようにされています。

  1. 書面による場合は、A4判の用紙に片面に横書きで記載し、表紙、本文、裏表紙の順に綴り、袋とじにするか、ステープラ(ホチキス)等で綴じます。表紙には、通常会社の商号等を記載します。字の大きさ等は、12ポイント、標準書体で印刷すると見やすくなります。
  2. 定款原本には、発起人が署名又は記名押印し、各葉ごとに契印します(この契印に代えて、袋とじの場合には、つなぎ目に契印することでかまいません。)
【定款の作成、署名、作成日付】

法人を設立する場合、会社であれば発起人、社団法人であれば社員、財団法人であれば設立者(以下、単に「発起人」として、説明します。)が定款を作成し、これに署名又は記名押印をすることになります。電子定款によるときは、定款をPDFファイルで作成し、電子署名をすることになります。
作成日付は、記載するのが普通です。なお、その作成日付は、認証する日よりも以前の日になります。

  1. 定款に使用する言語は、日本語になります。英語、ドイツ語等が併記されている定款であっても、日本語の部分が正式の定款となり、外国語の部分は翻訳として扱われます。
  2. 定款記載例

 ※日本公証人連合会においては、起業支援の観点から、小規模でシンプルな形態の株式会社をスピーディーに設立したいという起業者のニーズに応えるため、「定款作成支援ツール」を提供しています。また、東京都・福岡県の公証役場では、この定款作成支援ツールを利用した場合に48時間以内に認証手続を完了させる試行を行っています。詳細については、こちらを御覧ください。

2 定款の認証とは何か。

定款の認証とは、公証人が、正当な手続きにより定款が作成されたことを証明することをいいます。

次のような法人の設立をするときには、公証人の認証を受ける必要があります(ただし、公証人の認証を受ける必要があるのは、設立当初の定款だけで、その後定款を変更するときは必要ありません。)。設立当初の定款(原始定款ともいいます。)について、公証人の認証が必要とされるのは、

  1. 定款や法人格の存立をめぐる紛争を予防すること
  2. 不正な起業・会社設立を抑止すること
  3. マネー・ロンダリング対策(実質的支配者の把握)等のためです。

3 公証人の認証を必要とする定款

  1. 株式会社
  2. 一般社団法人及び一般財団法人
  3. 税理士法人・司法書士法人・行政書士法人・土地家屋調査士法人・社会保険労務士法人・弁護士法人・監査法人・特許業務法人・特定目的会社・相互会社・金融商品会員制法人
  4. 信用金庫、信用中央金庫及び信用金庫連合会

4 公証人の認証を必要としない定款

いわゆる持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の定款については、公証人の認証を必要としません。
持分会社の定款は認証を必要とせず、株式会社の定款は認証を必要としているのは、経営と責任が分離されて不特定多数の者がかかわる設計となっている物的会社である株式会社については、設立後の紛争予防、不正防止等の必要性が特に高いためです。

5 定款の認証後の変更について

  1. 定款の認証を受けた後、創立総会において本店所在地を他の法務局又は地方法務局管内に変更したときは、変更後の定款について改めてその本店所在地管内の公証人に認証を受けなければなりません。
  2. 裁判所が変態設立事項について検査役の報告を受けた結果、不当と認めて決定をしたような場合には、公証人の認証を改めて受けることなく変更できます(会社法30条2項)。このほかの事項について、改めて、公証人の認証を得る必要があるかどうかは、認証を受けた公証人に問い合わせをしてください。
  3. なお、会社の目的を一部修正する場合や発起人の氏名の誤記を訂正する場合など、定款の変更する内容が軽微な場合には、先に認証した定款を事実上訂正し、初めからそのような定款であるとして扱うこともあります。定款の事実上の訂正で済ませることができるかどうかは、認証を受けた公証人に問い合わせをしてください。もっとも、発起人又は社員の交替は、定款変更手続によるか、新しく定款を作成する必要があります。