令和6年度の日本公証人連合会の会長に就任しました。
皆様、どうぞよろしくお願いします。
公証人は、令和6年5月現在、全国に約500人おり、全国各地の約300の公証役場において執務しています。
公証人が行っている公証事務は、国民の社会生活に密接な私人間の契約や遺言などについて、私的紛争の予防の実現を目指すものであり、具体的には、①強制執行が可能にもなる公正証書の作成、②私署証書や会社等法人の定款への認証付与、③私署証書への確定日付の付与などの事務を行っています。
公証人は、公証事務の性質上、高度な法的知識と豊富な法律実務経験を有していることが必要なばかりでなく、一方当事者に偏ることなく、中立・公正に執務を行う必要があります。そのため、裁判官、検察官、弁護士、法務局長等、法律知識や法律事務の実務経験が豊富な者の中から法務大臣の任命を受けた者が公証人として執務をしています。
日公連は、公証役場の利用者の利便性、公証事務の合理化等を実現するために、これまでにも様々な公証事務の改善を行ってきましたが、本年度は、主として以下のテーマに取り組んでまいります。
第1に、公正証書の電子化への取組です。
我が国社会のデジタル化を推進する政府の方針を受け、これまで紙で作成してきた公正証書に関する一連の手続は、令和7年度上期に原則デジタル化されます。
日公連では、セキュリティ面に特段の配慮を行いつつシステム開発を進めるとともに関係資料の作成等必要な準備を鋭意進めております。その実施に当たっては、関係者の皆様にも手続の概要の説明など広報活動を行うとともに、周知を図ってまいりますので、その際には、よろしくお願いいたします。
第2に、起業家支援についてです。
日公連では、これまでにも起業家支援の観点から、定款認証事務について、電子定款認証制度の導入、Web方式による嘱託人との面談、定款認証・登記同時申請、定款作成支援ツールを利用した定款認証に係る特例措置等、定款認証手続の合理化や起業家支援のための施策を自主的に実施してまいりました。今後も定款認証業務の合理化、スタートアップ起業家の利便性確保等の観点から、定款認証業務の改善を続けてまいります。定款認証の嘱託や相談については、お近くの公証役場にお問い合わせください。
第3に、日公連では、公証需要喚起のための広報活動、高齢者の支援を目的とした広報活動を、行政機関、士業団体、社会福祉協議会その他組織、団体の皆様方と連携するなどして行っております。
超高齢社会を迎え、高齢者の資産管理、財産承継等への関心は高まっております。任意後見、遺言、家族信託、死後事務委任等、ご本人やご家族の将来の安心に備えた方策をとっておくことの重要性・必要性が今後ますます高まるものと考えられます。これらの制度について詳しくお知りになりたい方や公正証書の作成をお考えの方は、是非お近くの公証役場にご相談ください。
全国の公証人とともに、親切、丁寧をモットーに、その職責を果たしてまいりたいと考えておりますので、引き続き皆様のご理解、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
日本公証人連合会会長
中 田 和 範